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パイオニアコア技術を活かして、 “自給自足”のコミュニティづくりを。エネルギープロダクト株式会社社長・丸山一孝さんインタビュー(後編)

2017.03.01

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コア技術を活かして、 “自給自足”のコミュニティづくりを。エネルギープロダクト株式会社社長・丸山一孝さんインタビュー(後編)
1995年、「再生可能エネルギー」「エコ」といった言葉がほとんど知られていなかった頃に、いち早く風力や太陽光による発電事業に乗り出した、丸山一孝さん率いるエネルギープロダクト株式会社。丸山さんがプラントエンジニアとして培った技術力を武器に、発電システムの設計、施工、メンテナンスまでワンストップでこなす手腕が高く評価されています。

創業から今日まで25年間の歩みをたどった前編に続き、後編では丸山さんが思い描く「未来」をテーマにお話を伺っていきます。

具現化する、「ミニ地球」のコミュニティ化

丸山さんがこれまで取り組んできた諸事業の原点は、起業して間もない頃に携わった、「ミニ地球」と呼ばれる閉鎖型生態系実験施設でした。地球に見立てた閉鎖空間で、水も食料もすべて自分たちでまかない、廃棄物をエネルギーや水、ガス、肥料に変えて循環させる、自給自足型の生命維持システム。これを実社会に構築することが丸山さんの悲願です。太陽光発電事業で会社を成長させ、ついに発電と廃棄物処理を同時に行うバイオマス発電事業へ参入するなど、「ミニ地球」の実現に向けた「部品づくり」が進むなか、具体的なビジョンも定まりつつあるようです。

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――いずれは自社の製品やシステムを統合させて、自前の「ミニ地球」を作りたいと伺いましたが、具体的なイメージはすでにお持ちでしょうか?

 

創業時に携わった「ミニ地球」は、実験施設という閉鎖空間内で完結する生態系でしたが、私が描いているのは「ミニ地球」と同じような機能を持つ「コミュニティ」をつくることなんです。規模としては50〜100戸、人口300人程度の小さな町に発電システムや廃棄物処理・食料生産のシステムを揃えて、そこで雇用を生み出し、さらにその社員がそこで働いて得た収入の一部をエネルギー使用料などとして当社に還元してもらう。要するに、エネルギーも食べ物も仕事も、その地域のなかで生み出し使う、暮らしの“自給自足”が可能になるのです。

 

――そういったコミュニティをニュータウンのような形で新たに開発するということですか?

 

それも一つの手ではありますが、できれば既存のコミュニティを活用したいですね。たとえば、地方の限界集落へのIターン、Uターンを促して、新しくコミュニティを立ち上げることができれば、地方の活性化につながります。近頃、限界集落で暮らしている人を市街地に呼び寄せる大規模集約型のまちづくりが推し進められようとしていますが、私は先ほど言ったような地産地消・自給自足が成り立つ小さなコミュニティを各地に作る、小規模分散型のまちづくりのほうが望ましいと考えています。
大規模集約型のほうが行政側の負担が減り、暮らしも便利になるというメリットがある反面、ひとたび災害が起こると停電が広範囲に及んだり、生活再建に時間がかかったりとダメージも大きくなります。また市街地に人を呼び寄せることで里山が荒廃し、環境にも悪影響をおよぼしかねません。自分たちが使うエネルギーを自分たちで作り、それに携わることで生計を立てられる小規模な町を作っていけば、そのようなリスクにさらされることなく、地方の活力を高めていけると思うのです。

 

――小規模分散型のまちづくりを実現するにあたっては、当然課題もあると思いますが。

 

まず賛同してくれる地域を見つけることが一番の課題でしょうね。いきなり押しかけて「ここに作らせてください」なんて通用しませんから、情報発信や意見交換などに時間をかけて、地域との信頼関係を築いていく必要があります。

 

――いつ頃を目処に第一号のコミュニティを誕生させたいとお考えですか?

 

長年取り組んできた仕事の集大成として、5年後を目標にしています。実現すれば、実際に現地を見てもらうことができますから、後に続く地域もどんどん増えていくのではないかと期待しています。

夢の続きを託すため、若手の意識を改革中

丸山さんには「ミニ地球」のようなコミュニティづくりを実現させること以外に、もう一つ、やり遂げなければならないことがあるそうです。それはずばり、人材育成。ここ数年の業績向上にともない、社員の数が3倍以上に急増して以降、その必要性を強く感じるようになったといいます。

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――太陽光発電事業の成功による業績の伸びは予想以上だったというお話でしたね。そこで人員を増やした結果、組織にはどのような変化がありましたか?

 

世代の問題でもあるのでしょうが、安定志向の人が多くて、全体的におとなしくなった印象です。基本的に、社会に出てお金を稼ぐ方法は、会社に勤めるか自身で起業するかの2通りですよね。この2つに本質的な違いはなく、人との接点を持ち、情報を仕入れ、自分の仕事を生み出し、成果を出して生活の糧を得るという緊張感はどちらにも必要なことだと思うのです。私たちの世代は会社員であろうと起業家であろうと、自分の食い扶持を稼がなくては! という危機意識を常に持っている人が多く、あちこち駆けずり回っていたものですが、今の人は会社が守ってくれるという認識が強いみたいで、何事に対しても受け身ですね。そういうタイプの人が社内の大半を占めてしまうと、いずれ会社が成り立たなくなります。会社としての取り組みの中で、彼らの意識も変わりつつありますが、引き続き取り組みを継続していくつもりです。

 

――たとえば、どういう取り組みを?

 

内部統制の仕組みを取り入れて、各自が会社組織の一員として果たすべき役割・責任が明確になるように社内システムを変えてみたり、外部から講師を招いてビジネススキルやメンタルトレーニングのセミナーを開いたり、本当に色々やっています。100名規模の会社で、ここまで社員教育に力を注いでいるところも珍しいのではないでしょうか。

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――社員に対して直接メッセージを発するなど、丸山さん自身の気持ちを伝える機会は設けていますか?

 

今でも現場の仕事に取り組んでいるので、社員とのコミュニケーションの時間は多いです。仕事に対する基本的な考え方や、それに即した仕事の進め方について、事あるごとに伝えていますが、言葉で伝えるだけでは表面的な理解にとどまる可能性があるので、やはり成功体験を通じて本質的な意味を理解させる必要があると思います。しかし、成功体験をさせたいがためにこちらがサポートをしすぎると、当事者意識が薄れて自分の成果として実感できなくなりますし、そのさじ加減が非常に難しいですね。

 

――丸山さんの会社を思う気持ちの強さが伝わってきます。いずれはどなたかに事業を託して会社を退かれる日が訪れるかと思いますが、事業または会社がどのような発展を遂げてほしいと思いますか?

 

先ほどお話した小規模分散型のコミュニティが日本各地に広がっているといいですね。そこには当社の事業拠点が必ずあって、そのネットワークで社会が成り立つくらいに……。事業拠点といっても、地域の方々に働いてもらい、徐々にそれぞれの地域の持ち物として運営も任せていくことをイメージしています。やはり自分たちが参加して“自分たちの地域社会の一部”になっていかなければ、コミュニティとして長続きしませんから。

 

私が思い描くとおりになれば、エネルギーの問題、ゴミの問題、地方衰退の問題など、さまざまな社会問題が解決できるはずです。この思いを現在の社員たちと分かち合い、次の世代にも受け継いでもらって、ぜひ実現してほしいですね。

ビジネスチャンスは、人との縁から生まれるもの

人材育成をめぐって試行錯誤の日々を送る一方で、より具体的かつ長期的な未来のコミュニティ像を語ってくれた丸山さん。最後に、ご自身の歩みを振り返りつつ、起業を志す人たちに向けてメッセージを送ってくれました。

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――起業したての方やこれから起業しようと考えている方にとって、丸山さんはまさに大先輩です。起業で成功する秘訣を挙げるとすれば、どんなことでしょうか。

 

とにかく自分から積極的に動いて、いろんな人と話をすることです。SNSで人と繋がり、情報交換ができるからといって部屋に閉じこもっていてはダメ。時間とお金を費やしてでも実際に人と会って、コミュニケーションを重ねながら本物の信頼関係を築くことが大事だと思います。現実のネットワークが広がっていくなかで、自分の方向性を決めるようなチャンスが必ずめぐってくるはずです。私が「ミニ地球」のプロジェクトに関わることができたのも、足で稼いだ人とのご縁がきっかけでした。

 

――丸山さんは会社員だった頃から、それを心がけていたんですか?

 

起業のためというより、よい仕事をするために職場の人間関係は大切にしていましたね。ちょっと厳しめのことを言わせてもらうと、そもそも会社のなかで誰からも信頼されず、実績を残せないような人は、起業してもうまくいかないと思います。どこで何をするにしても、やる以上はプロ意識を持って取り組まなければ、結果はついてこないのではないでしょうか。


 

終始穏やかな口調で話されていた丸山さんでしたが、一代で会社を築いたやり手の起業家だけあって、仕事に厳しい一面も随所に垣間見られました。そんな丸山さんの熱いスピリットこそが、エネルギープロダクト株式会社の原動力。その心意気はきっと若い世代にも行き渡り、循環しつづけるのではないでしょうか。

 

 

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岡田 香絵 / Okada Kae

フリーライター

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