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パイオニアコア技術を活かして、“自給自足”のコミュニティづくりを。エネルギープロダクト株式会社社長・丸山一孝さんインタビュー(前編)

2017.02.01

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コア技術を活かして、“自給自足”のコミュニティづくりを。エネルギープロダクト株式会社社長・丸山一孝さんインタビュー(前編)
20世紀後半から今日まで、半世紀以上にわたって世界的な議論が続いているエネルギー問題。化石燃料の枯渇や環境破壊が叫ばれるなか、未だ本質的な解決策を見出せずにいます。そんな極めて困難な課題と向き合い、絶えず挑戦を続けている企業が、東京・九段下に本社を構えるエネルギープロダクト株式会社です。

同社の主な事業は、太陽光発電・風力発電・バイオマス発電に関わる製品およびシステムの開発、廃棄物処理・エネルギー生産・植物栽培を同時に行うエコファクトリーの開発など。今でこそ注目の分野ですが、事業を開始した1995年当時は「再生可能エネルギー」「エコ」といった言葉さえ存在せず、社会の関心度も決して高くはありませんでした。追い風どころか逆風にさらされながらも信念を貫き通した、創業者で代表取締役社長の丸山一孝さんに、当時の思いやこれまでの歩み、そして事業承継を視野に入れた今後の展望についてお話を伺いました。

最先端の科学技術に魅せられ、「いつかは自分も」

丸山さんはもともと、大手プラントメーカーのエンジニアでした。1991年、34歳のときにかねてより温めていた起業の夢を果たすべく会社を辞め、都市ガス関連のシステムエンジニアリングを請け負う会社を立ち上げました。それがエネルギープロダクト株式会社の始まりです。

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――いつ頃から起業を志して、準備を進められたのですか?

 

学生の頃から、漠然と「いつかは起業しよう」と考えていました。そういう意味では、はじめに就職した大手プラントメーカーに在籍していた約15年の歳月すべてが準備期間だったといえますが、事前に綿密な計画を立てたわけではなくて、そのときの勢いでしたね。

 

とりあえず会社を辞めて、以前から仕事でお付き合いのあった協力会社に「独立するから仕事を手伝わせてほしい。会社の一部を間借りさせてもえらないか」と無茶なお願いをして、会社ごと居候させてもらいました。かれこれ4年ほど、表向きにはその会社の一員として様々な仕事を経験させてもらったおかげで、経営者としての自信や覚悟が備わったように思います。

 

――本格的に独立された後、再生エネルギー事業やエコファクトリー事業に取り組まれていますが、何かきっかけがあったのでしょうか?

 

独立して4年が経つ1995年頃、たまたまご縁があって、青森県六ヶ所村にある公益財団法人 環境科学技術研究所が新たに始めた「ミニ地球」という“閉鎖型生態系実験施設”の運用に加わることになったんです。その実験施設は、地球に見立てた巨大な閉鎖空間をつくり、そこで生活する人間の食物も排泄物も全部そのなかで循環させる、自給自足型の生命維持システムを構築するという大変大がかりなものでした。人間居住区や、植物栽培区、動物飼育区などのほか、大小80個ほどのプラントからなり、維持管理にはプラントの専門家が必要でした。そこで、前職からプラントエンジニアとしてキャリアを積んでいた私に声がかかり、オペレーションやメンテナンスを担当させてもらうことになったんです。

 

最先端の科学技術を駆使すれば、こんなに面白いシステムができるのかと衝撃を受けたのと同時に、自分も挑戦してみたいと思うようになりました。しかし実際には、日本の名だたる企業がそれぞれの製品やシステムを分担して納入し、将来的に宇宙空間で自給自足型の生命維持システムを構築することを目指した大掛かりな施設。当社のような小企業がチャレンジするには、いささか無理がありました。そこで、いちメーカーがビジネスとして始められる部分から、“自給自足”をコンセプトにした製品やシステムづくりに取り組むことにしたのです。

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――具体的にどのようなものを開発し、ビジネスに結びつけていかれたのでしょうか。

 

はじめに手がけたのは小型の風力発電装置です。自分たちで風車を開発し、それを売るだけでなく、システムの設計、施工、メンテナンスまでトータルでお引き受けするのが、エンジニアリングを得意とする当社の特徴といえます。2000年頃から官公庁の施設を中心に細々と続けてきましたが、風力発電の市場規模自体があまり大きくないため、主力事業にはなりませんでした。

 

しかし風力発電事業に取り組むうち、再生可能エネルギー利用の啓発・普及を目的に、小型の太陽光発電を組み合わせて納入する事例が出てきたのです。そこで、2つの発電システムを複合させた「自然エネルギー電源システム」を提供するようになりました。そんな経緯で身についた太陽光発電の原理や基礎技術が、その後の本格参入の際の大きな武器になりました。太陽光発電は現在、当社の売上の9割近くを占める主力事業になっています。

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――太陽光発電といえば、東日本大震災を機に一気に注目度が高まり、企業間の競争も激しくなりました。どのタイミングで参入を決断し、どのような戦略でシェア拡大を図られたのでしょうか。

 

その他大勢の事業者と同じく、2012年の固定価格買取制度が導入されるタイミングで本格参入を決めました。先ほど申し上げたように風力発電との組み合わせによる小型太陽光発電システムの運用実績があったのでやってみる価値はあるだろうと。問題は資金調達です。地元の金融機関に相談を持ちかけたところ、フューチャーベンチャーキャピタル株式会社を紹介していただき、同社のファンドを利用して資金を調達することができました。

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とにかく現物を作って見せないと誰も信用してくれませんから、急ピッチでメガソーラーシステムを作り上げ、なおかつ開発から設置、その後の維持管理まで一気通貫で請け負えるエンジニアリング会社の強みをアピールしました。すると徐々に注文が増えていき、この4、5年で売り上げが20倍ぐらいに膨らんだのです。業績アップは見込んでいましたが、まさかこれほどの成果が出るとは思いませんでしたね。

風力、太陽光、バイオマス……夢をかたち作る事業展開

太陽光発電の本格参入から約5年で売上2億円から50億円規模へ、飛躍的に業績を伸ばしたエネルギープロダクト株式会社。ここで“選択と集中”を図り、太陽光発電事業一本でさらなる成長を目指すことも可能でしたが、丸山さんは同事業に拘泥するつもりはありません。買取価格の低下や電力会社の買取見合わせなどが相次ぎ、太陽光発電業界の成長が鈍化しつつある情勢も踏まえ、近年注目を集めているバイオマス発電事業に乗り出そうとしています。

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――今後はバイオマス発電にも力を入れていくおつもりだとか。それはなぜでしょうか?

 

当社の最終目標は、先ほどお話した「ミニ地球」を作ることなんです。風力や太陽光といった再生可能エネルギーはその部品であって、揃えるべきものがまだあるんです。これからはじめようとしているメタン発酵型のバイオマス発電もその一つで、風力発電や太陽光発電にはない“廃棄物処理”の機能を持っています。木質や生ゴミ、排泄物などをプラント内で発酵させ、発電と廃棄物処理を同時に行い、さらに生成熱を農業ハウスなどに利用することもできるハイブリッドな仕組みです。

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これは、発電事業と並行して進めてきたエコファクトリー事業、つまり廃棄物処理・エネルギー生産・植物栽培を同時に行う複合工場の研究開発から派生したもの。このように当社の事業は、それぞれ独立した形態を取りながらも、「ミニ地球」を構成する要素として、すべてつながっているのです。

 

――なるほど。太陽光発電業界の成長に陰りが見えつつあるなか、次の切り札として注目を浴びているバイオマス発電に取り組もうとされているのかと思いましたが、必ずしもそうではないんですね。

 

もともと流行りを追いかけたり、人と同じことをするのは、好きなほうではないです。現在人口の70%がサービス産業に従事しているそうですが、私はやはり、少数派であっても地に足のついたモノづくりをやっていきたいですね。

 

当社の原点は、創業の基盤となったプラントエンジニアリング技術にあります。そのプラント技術を残していくための商品としても、バイオマス発電は最適なんです。メタン発酵型のバイオマス発電システムには、バイオガスを発生させるための「メタン発酵槽」と呼ばれるプラントなど、プラントエンジニアリングが不可欠ですから。今度はバイオマス発電のプラントシステムを当社の主力商品に、と考えています。

 

バイオマス発電のプラント第一号として、2017年春頃の稼働を目指して、青森県下北半島にある横浜町という町の一角に発電所を建設中です。プラントの規模はそれほど大きくありませんが、周辺に原料を集めるための土地も確保してあります。そこで人間の食料と競合しない「資源作物」として牧草を育てたり、間伐材を収集するなど、原料を現地で調達することでエネルギーの“自給自足”が可能になるのです。ゆくゆくは、家庭から出る生ゴミや家畜の排泄物などのゴミ処理プラントとしても活用できるようにし、その地域の暮らしとより密接に結びつくシステムにしていきたいと考えています。


 

プラントエンジニアリング会社としてスタートを切り、閉鎖型生態系実験施設「ミニ地球」との遭遇から、世に先んじて再生可能エネルギー事業を切り開いてきた丸山一孝さん。

 

次回インタビュー後編では、丸山さんが目指す事業の集大成について、またその先の事業承継を見据えた後進育成にまつわるお話など、未来に向けての熱い思いを語っていただきます。

 

 

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岡田 香絵 / Okada Kae

フリーライター

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