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ノウハウ経営者は歴史から学ぶ。若きベンチャー企業経営者必読の入門書

2017.01.04

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経営者は歴史から学ぶ。若きベンチャー企業経営者必読の入門書

多くの企業経営者が、歴史に関する書籍を愛読している。歴史とは、国家や指導者の盛衰の積み重ねであり、国家や軍隊=企業、指導者=経営者と読み替えると、現代の企業経営者にとっても参考書となりうることが容易に想像できるだろう。素晴らしい経営者は、歴史からも企業経営を学んでいるのだ。

 

比較対象が国家や軍隊であることから、大企業の経営者向きだという考えもある。実際に大企業経営者には歴史好きが多いとも言われている。しかし、本当に歴史から学ぶべきは、ベンチャー企業の経営者だ。特に若い経営者ほど、人生経験や組織のマネジメント経験が少ない。だからこそ、歴史から学んで経験不足を補えるのだ。

 

今回は経営者が「歴史から学ぶ」入門書と言える2冊を紹介したい。いずれの本も、学生時代の暗記中心の歴史と違い、歴史の本当の楽しさを知ることができる内容だ。ここが重要なポイントで、あくまでも「歴史から学ぶ」のであって「歴史を学ぶ」のではないことに留意されたい。

(1) 『ローマ人の物語Ⅰ ―ローマは1日にして成らず―』(塩野七生著、新潮社刊)

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世に言う「経営者必読」の名著。経営者向けの書として、必ずといっていいほど名が挙がる。

 

ローマは紀元前753年から、西暦1453年まで続いた国家(ただし、伝承による期間も含む。また国家の名称は同一ではない)であり、最盛期には中東、アフリカ、ヨーロッパまでその版図を広げた。本書はタイトルどおり、国家そのものではなく「人」に焦点を当てた内容となっている。そして著者は小説家であり、決して組織のリーダーでも企業経営者でもない。しかしながら小説家としての一流のセンスからか、その指導者論には唸らせられることが多い。

 

読むべき理由:物語として楽しみながら、成功と失敗の繰り返しを糧にする
なにしろ、通算2,000年にわたる物語だ。国家の歴史を見てもわかるとおり、国家成立期、直後の混乱期、成長期、停滞期、改革期、衰退期などがあわただしく、何度も繰り返し現れる。そのような場面で指導者がどう考え、行動したか、これほど企業経営に参考となるものはない。

 

本書の分類は歴史書ではなく小説だ。読み進めるうちに、登場人物の表情までが目の前に浮かんでくるような瑞々しい文章で、娯楽としても十分楽しめる。歴史=暗記というイメージや、歴史書の堅いイメージで敬遠してしまう人ほど、このような小説をきっかけに「歴史から学ぶ」体験をしてほしい。

(2) 『敗者列伝』(伊東潤著、実業之日本社)

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歴史書や歴史小説は当然ながら勝者に光が当たるものが多いが、こと「教訓を得る」という意味では、失敗事例や敗者を知る方がはるかに有益だ。

 

プロ野球の監督業で著名な野村克也氏が引用して有名になった、松浦静山の剣術書「剣談」からの「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という言葉があるが、勝利に共通の要素を見出すのは極めて難しい一方、敗北の理由には一定のパターンがある。

 

本書は、日本の古代から明治維新までの「敗者」に焦点を当てた本だ。傲慢さや油断がいかに危険かということがよくわかる。リスクを知りうる機会として、これも若いベンチャー企業経営者にぜひ勧めたい。

 

読むべき理由:様々な時代に生まれた、魅力的な敗者と実践的な敗因
源平の昔から戦国・江戸時代を経て、明治維新から近代まで。本書に描かれる敗者たちは誰もが一度は耳にしているであろう歴史上の有名人物ばかり。短編形式で端的に敗者からの教訓がまとめられており、読みやすさとわかりやすさは特筆ものだ。

 

短編形式かつテーマが「敗者であること」に絞られているため、各登場人物について詳しく知るためにはさらに調べる必要がある。自分と似たタイプの人物を本書で探し、他の書籍で深掘りすれば、より見聞を深められるだろう。


 

最後に「歴史から学ぶ」ための考え方・方法を記しておきたい。

 

まず、事実を知るだけではなく、教訓を引き出すこと。歴史の知識が豊富なのは素晴らしいが、企業経営に活かすためには、教訓を引き出す必要がある。その事件にはどのような背景があったのか、なぜそのような判断がなされたのか、その判断はどのように歴史に影響を与えていったのか、史実を自分なりに解釈していくことが学びにつながる。

 

さらに、引き出した教訓を、実際の企業経営に当てはめて活かすこと。実際には自分とは縁のない国家的な指導者に関する教訓でも、これが企業経営の場面だったら、と想像を膨らませてみることが大切だ。あなたが経営者なのであれば、必ず重なる部分があり、経営に役立つヒントがあるはずだ。

 

いずれも事実を並べただけのテキストからは読み取るのが難しい内容だ。今回紹介した物語としての歴史であれば、登場人物への感情移入も容易で、当事者の気持ちに近づけるだろう。今はまだ歩み始めたばかりの自身の経営者のキャリアも、いずれ書物に描かれているような物語に……そんな野望を胸に読んでみるのも、また一興だ。

 

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石井 優 / Ishii Masaru

フューチャーベンチャーキャピタル株式会社 投資育成部長

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