100年企業はここから生まれる。 Future Venture JAPAN

レポートNo Venture No Future【株式会社ウィルグループ】

2017.07.07

  • twitterボタン
  • facebookボタン
  • tumblrボタン
  • linkedinボタン
  • はてなブックマークボタン
  • pocketボタン
No Venture No Future【株式会社ウィルグループ】
この記事は、フューチャーベンチャーキャピタル株式会社(以下FVC)が日ごろお世話になっている方々と対談し、ベンチャーの育成や新事業の開発など「いかにして事業を成功に導くか」をテーマに、対談相手の皆様の戦略等をはじめ、FVCの事業戦略なども併せてお話しさせていただくものです。
第6回のお相手は、株式会社ウィルグループ取締役髙田憲治様。同社が取り組む「ウィルグループインキュベートファンド」と「ウィルグループHRTechファンド」をテーマに、人材派遣を主力とする同社がファンドに取り組むメリットなどについて、ウィルグループ髙田様とFVC松本が対談させていただきました。

スタートアップに寄り添い、
イノベーションを生み出す。

松本
まず2015年6月に立ち上げた、ウィルグループインキュベートファンドの設立の経緯を聞かせていただけますか。

 

髙田
当時の事業領域の95%は人材領域に偏っていました。また、人材・雇用分野は、外部環境によって影響されやすいマーケットです。そこに依存しているところから脱却していこうという流れのもとで、新しい事業領域にチャレンジしなければいけないと思いました。最初は自分たちで新規事業、セクションを作ってみたんですけど、うまくワークしなかったんです。我々はアイデアはないけど、ある程度のマンパワー、そして資金力もあります。投資を通じて、スタートアップと関わりながら協業、あるいはグループ参加といった選択肢もあるな、ということでCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)ファンドの設立に至りました。

 

松本
その時に、スタートアップにフォーカスをあてた理由はあるんでしょうか?

 

髙田
人材領域なら土地勘があるので、だいたい分かるんですけど、例えば旅行業界など、そういう飛び地になると右も左も分からない。スタートアップだと、一緒に成長している期間が長いので、その間になんとなく分かってくるだろうという目論みがありましたね。また、生まれたてのところから、一緒に寄り添ってやっていけるところに面白みを感じました。

 

松本
なるほど。出来上がっているものを取り込むというよりは、お互いを理解しながら取り組んでいくという、本当にそういう意味では「イノベーション」を求められて、というイメージでしょうか。

 

髙田
そうですね。

 

松本
その時に、なにか他社の事例で参考にされたものはありますか?
 

髙田
あまり参考にしていないですね。我々の人材領域でいうと、当時CVCファンドを設立しているところってなかったので。そういう意味では、オリジナリティーや模倣というよりも、むしろ我々のやりたいプランをつくっていったというところですね。

 

松本
キャピタリストを採用して自社でするというパターンも選択肢にありましたか?

 

髙田
そうですね。おっしゃるように子会社にキャピタル企業を設立するというパターンも想定していたんですが、キャピタルゲイン目的になるかなと思って。それよりも、ノウハウを構築されてるベンチャーキャピタルと組んで、我々は事業投資に注力したかったんです。

 

松本
FVCを選んでいただいた理由について、お聞かせください。

 

髙田
どこまでスキルがあるか、というのは二の次で、一緒にやっていける仲間かどうかというところが大事だと思います。そういう意味では、本当に真剣に向き合っていただいたので、そこが選ぶポイントになりました。御社はCVCファンドの実績も当時おありで、これも安心できる材料でした。

写真のキャプションが入ります写真のキャプションが入ります写真のキャプション

今ある地盤を固め、
いかにシナジーを発揮するか。

松本
インキュベートファンド設立前後のギャップを聞かせてください。

 

髙田
いやもう、想定どおりです。何の不満や改善点もありませんね。当然僕らにも至らないところはあるので、ご迷惑をおかけしてるところもありますが、それをどう修復していくのかというのも徐々に出来てきています。現時点ではとてもよかったなと感じていますね。

 

松本
現状運営されて丸2年経ちますが、その効果というのはどのように測られていますか?

 

髙田
まだ道半ばというところなので、来年、再来年に結果が出てくればと思っています。現段階では、期待値が高いスタートアップに対してファンドを通して投資はできています。あとは彼らに対して、いかに可能な限りご支援させていただくかというところですね。継続していくことによって、その期待値が実現していくのかなと思っています。

 

松本
ちなみに、期待値というのはどういうところにありますか? こういう事業に進出する目的であったり、例えば本業とのシナジーとかは?

 

髙田
そういう意味では、当初想像していなかったシナジーが出てきていますね。最近では、連続起業家を意識しているスタートアップの方に3年後には買収して欲しいと声を掛けられることもあります。ありがたいことに「ウィルグループ」をご指名してくれることも、今や片手じゃ足りないくらい声を掛けていただいています。そういう意味では僕らが想定していた効果っていうのは、ファンドを通して一歩ずつ近付いているのかなっていう感覚はあります。

 

松本
東京だけじゃないですけど、スタートアップのプレイヤーの中でも、ウィルグループさんの認知度って、随分上がってきていますよね。

 

髙田
色々おっしゃっていただいているので、そうなのかなとは実感しています。でも、そこは謙虚に。僕らはまだ2年しか経ってないですし、新参者だと思っているんで。しっかりと足元を見つめながらやっていきたいと思っています。

写真のキャプションが入ります写真のキャプションが入ります写真のキャプション

本業の領域を広げる
新たなファンドを。

松本
インキュベートファンドを作りながら、HRTechファンドを途中段階で設立した経緯を教えてください。

 

髙田
人材業界って1986年に派遣法が施行されてから30年近くになるんですけど、結構イノベーションがなかったんですよ。この30年は変わらなかったんですけど、最近はテクノロジーによる、人材業界に変革の波がきています。そこにやっぱり手を付けておかないと、維持・成長ができないと感じました。

 

松本
危機意識の種類が、1号ファンドと2号ファンドではちょっと違うんでしょうか。

 

髙田
違いますね。1号ファンドは他の業界に進出していく感じでした。でも我々の事業領域を守らなければと思っての2号ファンドですね。

 

松本
ちなみに2号ファンドの規模を10億円にした理由はありますか?

 

髙田
とにかく今よりも大きなサイズをやりたかったというのは、やっぱり我々の土地、というか庭なので。

 

松本
国内だけでなくアメリカも投資対象にしている理由はありますか?

 

髙田
HRtech業界に進出したくても時間はかかるし、基本BtoBじゃないですか。国内だけでそのサイズ感を消化していくのはちょっと厳しいです。グローバルで見るとHRTech領域は、やっぱり北米のスタートアップに7割くらい投資されていると言われています。世界で7割が投資しているところにやっぱり手を出さないと、これはちょっと駄目だなと。

 

松本
それは事業領域自体をアメリカにするというよりは、やっぱりそのテクノロジーを取り込むということですね。

写真のキャプションが入ります写真のキャプションが入ります写真のキャプション

ベンチャー留学で、
社内も成長機会を。

松本
ちなみにアクセラレーターの事例もありましたが、ファンド以外の、オープンイノベーションやイントラプレナーといった取り組みはありますか。

 

髙田
ソーシングの活動以外のところでいうと、今年度からは、ベンチャー留学に取り組んでいます。今は2名だけなんですが、この4月から2年目の新卒者を投資先に留学させているんです。

 

松本
どんな役割を求めているんですか?

 

髙田
その会社のいわゆるKPI(Key Performance Indicator)を追っかける、みたいなことですね。例えば、稼働率を高めたり、資金調達のための資本政策を作ったりなど。

 

松本
2年目の新卒者がするんですか? それは特に教育して送るということではなくて、もう向こうでやってこいと?

 

髙田
はい。一応人選はしています。ある程度どういう環境でも邁進できるようなマインドを持ってないと、結局折れちゃうんです。今の彼らって上場した後に採用されているんで、粒揃いのメンバーが多いんです。その中からベンチャーでもやっていけそうな人をチョイスしています。

 

松本
それは公募ですか?

 

髙田
はい。30人くらい応募がありました。

 

松本
なるほど。それって投資先から喜ばれますよね。

 

髙田
感謝のメールはいただきますね。…という取り組みを4月からやっています。その人たちがイントラプレナーに育つのが、一応狙いとしてあります。僕らにはそういう環境ってないので、だからスタートアップに環境やシチュエーションを依存しているところがあります。

 

松本
それは楽しみですね。毎年だいたい2~3人を予定しているんですか?

 

髙田
そうですね。今年は初なので2名ぐらいからスタートしたんですけど、意外にうまくいくなあと思っているので、もうちょっと増やしたいなっていう思いはあります。

写真のキャプションが入ります写真のキャプションが入ります写真のキャプション

大企業間で連携し、
さらなる支援拡充。

髙田
オープンイノベーションというと、今回は「HINODE」というアクセラレータープログラムをやらせてもらっています。今回は2回目なんですけど、趣向をガラッと変えています。今回はいわゆる大企業連合を作って、10社くらい参加していただきました。テクノロジー系や、PR系、ファイナンス系やマーケティング系などといったさまざまな業種とチームを組んで、彼らにコミットしてもらいます。例えばテクノロジー系なら日本マイクロソフトさん、全国にサポート体制をもつところだったら富士通さんやリコーさんという風にサポート企業の持っているリソースを活かして支援してもらっています。僕らにはヒューマンリソースという限られたリソースしかなくて、多彩なニーズにお応えできないというところがあります。リソースを全部揃えてアクセラレーターすることによって、スタートアップの満足度も上がるし、成功確率も上がるんじゃないかなという思惑があります。

 

松本
1回目は、ウィルグループさんと組んで相乗効果のある企業集まれ、っていうのがスタートのきっかけだったと思うんですが、2回目はどんな感じだったんでしょうか?

 

髙田
我々は一応主催者なので、ウィルグループの名前でスタートアップを集めるんですが、自分たちのカラーを前面に出すというよりも、あくまで我々は「こういうところを強化したほうがいいぞ」というのをサポート企業にメンタリングしてもらおう、というようにアサインしていく、いわば他人のふんどしを借りるっていう作戦です。

 

松本
まさに事業シナジーというか、本当にスタートアップの成長・支援をどう組み立てていくか、という感じでしょうか。

 

髙田
スタートアップファーストで考えると、そういうスキームだったところですね。サポートしていただいた大企業も結構そういうものを望んでいまして、実は断らざるを得ないくらい応募やお返事をいただきました。

 

松本
本当にスタートアップの成長のために、どれも必要な要素なんですよね。もちろん人もそうですし、マネジメントも。

 

髙田
そうですね。おっしゃるとおりです。これが上手くいけば、まさに鬼に金棒ですよね。それだけ色んな大企業から応援してくれると、結構何でも出来そうじゃないですか。至れり尽くせりみたいな。スタートアップの皆さんには「ここまでしてもらえるのか」とありがたいリアクションをもらえることもあります。

Keywords :,

  • twitterボタン
  • facebookボタン
  • tumblrボタン
  • linkedinボタン
  • はてなブックマークボタン
  • pocketボタン
松本直人

松本直人 / Matsumoto Naoto

フューチャーベンチャーキャピタル株式会社 代表取締役社長

連続的イノベーションと、非連続的イノベーション。
それぞれに対応したCVCファンドを、ウィルグループ様と組成しました。
投資先もファンドのGPも、大切にしている選ぶ基準は「一緒にやっていける仲間かどうか」。
順調にいっている秘訣は、ベンチャーに対して「上から目線」ではなく、あくまで対等な目線で寄り添うという「スタートアップファースト」の姿勢にあると確信しています。
この取り組みは、ベンチャーと関わっていく大企業にとっても、非常に参考になるものではないでしょうか。
ウィルグループ様の革新的な取り組みに、FVCは今後も大注目していきたいと思います!

関連記事

情報提供はこちらから